長野市松代地区の川合新田水源では、令和2年(2020年)に水道原水・給水栓でPFAS(PFOS・PFOA)が検出され、以降も井戸によっては基準値を超える濃度が続いています。長野市上下水道局が公表している月次の実測値を、当サイト「全国水質カルテ」が独自の判定を加えずそのままファクトとしてまとめました(更新年月: 2026年9月)。
- 情報源: 長野市上下水道局「有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA)調査結果」(年度別)、「川合新田水源 PFOS及びPFOAの濃度推移」
- 対象期間: 令和2年度(2020年度)〜令和8年度(2026年度、7月分まで)、月次データ
- 記事の最終更新: 2026年9月
寺尾地区の給水栓(蛇口水)のPFASはどう推移してきた?
川合新田水源からの水が混合される寺尾地区の給水栓(蛇口水)では、令和2年(2020年)9月にPFOS+PFOA合算値58ng/Lを記録し、長野市の水道で唯一「蛇口水そのもの」が暫定目標値(50ng/L)を超えた事例です。翌月以降は速やかに低下し、以降は基準値を大きく下回る水準が続いています。
(出典: 長野市上下水道局「有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA)調査結果」各年度版。R7・R8年度は年度途中までの公表値に基づく参考値)
他地域のPFAS(PFOS・PFOA)実測値が気になる方は、全国のPFAS実測値を比較できるマップもあわせてご覧ください。
58ng/Lを記録した翌月(2020年10月)には6ng/Lまで低下し、以降令和3〜7年度は概ね2〜7ng/Lで推移しています。令和8年度(今年度)は4月〜7月の4回とも定量下限値未満(2ng/L未満)でした。
原因とみられる井戸(1号井・3号井・4号井)の原水は今も高いのか?
川合新田水源には6本の井戸(1〜6号)がありますが、このうち1号井・4号井は令和2年(2020年)10月に水道原水としての使用を停止しました。ただし停止後も水質監視は継続されており、稼働中の3号井とあわせて、今も基準値(50ng/L)を上回る値が検出され続けています。
- 1号井(2020年10月に取水停止、監視のみ継続): 検出が始まった2020年9月に390ng/Lを記録。取水停止後も監視は続けられており、令和6年度(2024年度)には再び100〜230ng/Lという高い値が複数月にわたって検出されています。
- 3号井(現在も取水中): 令和2〜6年度にかけて、月によって50〜110ng/L程度まで上昇する月が多く、長野市独自の内部管理目標値(25ng/L)を上回ることが繰り返し起きています。
- 4号井(2020年10月に取水停止、監視のみ継続): 停止後の令和3・4年度に200ng/L台(最大260ng/L、基準値の5倍超)を繰り返し記録しています。
(出典: 長野市上下水道局「川合新田水源 PFOS及びPFOAの濃度推移」(原水、令和2〜8年度))
1号井・4号井は水道原水として使っていませんが、地下水そのものは今も高濃度が続いており、取水停止=汚染の解消ではないことがわかります。
一方、6本の井戸を混合したうえで浄水処理された「浄水」(水源出口の段階)は、令和2年度以降おおむね2〜23ng/Lで推移し、令和8年度(今年度)は全て2ng/L未満まで低下しています。長野市は独自の内部管理目標値25ng/Lを設定し、井戸ごとの状況を監視しながら取水量を調整するブレンド管理を行っています。
(出典: 長野市上下水道局「川合新田水源 PFOS及びPFOAの濃度推移」(浄水、令和2〜8年度))
汚染源は特定されている?
長野市の公式資料では、汚染源は特定されていません。令和5年8月29日、長野市環境部は川合新田水源の周辺500m以内5地点(ビッグハット取水井、衛生センター取水井、川合地区用水路の上流・中流・下流)でPFASの追加調査を実施しましたが、全地点で定量下限値(5ng/L)未満、つまり検出無しという結果でした。
- 2020年9月寺尾地区給水栓で58ng/L検出(唯一の基準超過事例)。同年10月に1号井・4号井の取水を停止。
- 2023年7月〜2025年2月専門家会議(計5回)が、地下水調査結果の評価と今後の取水方法を検討。
- 2023年8月29日水源周辺500m以内5地点で追加調査、全地点で検出無し。
- 2025年2月19日専門家会議が長野市長へ意見書を提出。
(出典: 長野市上下水道局・環境部公表資料(専門家会議配付資料、令和7年2月19日付意見書))
まとめ:現在の水道水は安全か
長野市上下水道局が公表する検査結果では、寺尾地区給水栓(蛇口水)のPFOS+PFOA合算値は令和8年度(今年度)時点で全て定量下限値未満(2ng/L未満)と、基準値(50ng/L)を大きく下回っています。ただし水源井戸のうち1号・3号・4号井は原水段階で今も基準値を上回る値が検出されており、汚染源は追加調査でも特定されていません。この記事は行政が公表した実測値と経緯をそのまま並べたものであり、当サイトが独自に安全・危険を判定するものではありません。今後の検査結果が公表され次第、この記事のグラフも更新していきます。
長野市の水道水全体(硬度・フッ素・トリハロメタン等)の実測値は「長野市の水道水カルテ」でまとめています。
このページのデータの読み方と出典
本ページの数値の見方と、参照した情報源をまとめます。
出典一覧
- 長野市上下水道局「川合新田水源 PFOS及びPFOAの濃度推移」
- 長野市上下水道局「有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA)調査結果」(年度別、市内給水栓水)
- 長野市上下水道局「川合新田水源の取水方法等検討専門家会議」関連資料



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