PFAS(ピーファス)とは何か、PFOS・PFOAとの違い、水道水や井戸水との関係、現時点でわかっている健康影響について、環境省の公表資料に基づいてまとめました。当サイト「全国水質カルテ」が独自に安全・危険の判定を行うことはありません。
PFASとは
PFAS(ピーファス)とは、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称した呼び方です。1万種類以上の物質が含まれます。炭素鎖の長さによって性質が異なり、撥水性・撥油性、熱や化学的な安定性を持つものが多く、撥水剤・撥油剤、界面活性剤、半導体用の反射防止剤など幅広い用途で使われてきました。分解されにくい性質から「永遠の化学物質(フォーエバーケミカル)」と呼ばれることもあります。(出典: 環境省「PFOS、PFOAに関するQ&A集」2024年8月時点)

身近なところだと、フライパンや衣類の撥水加工などにも使われてきた、水や油をはじく性質を持つ化学物質の総称なんですね
全国の主要都市・地域のPFAS(PFOS・PFOA)実測値を升目(グリッド)形式でまとめています。PFASマップで全国データと比較してみましょう。
PFASとPFOS・PFOAの違い
PFASは1万種類以上の物質の総称であり、その中でも特に使用量が多く、健康・環境影響への関心が高いのがPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)です。PFOSは半導体用の反射防止剤・レジスト、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに、PFOAはフッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに主に使われてきました。現在、水質調査や報道で「PFAS」として扱われる数値の多くは、実際にはこのPFOSとPFOAの合算値を指しています。
なぜ製造・輸入が禁止されているのか
PFOS・PFOAには、難分解性(分解されにくい)、高蓄積性(体内や環境に蓄積しやすい)、長距離移動性(遠くまで拡散する)という性質があります。将来にわたる環境への影響を未然に防止する観点から、国際条約「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」により、PFOSは2009年、PFOAは2019年に廃絶等の対象とされました。日本国内でも「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に基づき、PFOSは2010年、PFOAは2021年から製造・輸入等が原則禁止されています。
PFASはなぜ河川や地下水から検出されるのか
PFOS・PFOAが河川や地下水から検出される主な理由は、現在は製造・輸入が禁止されているものの、規制前に様々な用途で使われていた物質が、過去に環境中へ排出されたためです。(出典: 環境省「PFOS、PFOAに関するQ&A集」2024年8月時点)
環境省の資料によれば、PFOSは半導体用の反射防止剤・レジスト、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに、PFOAはフッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに、規制前は主に使われてきました。こうした製造・加工工程を持つ施設の周辺では、過去の使用・排出に由来してPFOS・PFOAが検出される場合があります。(出典: 環境省「PFOS、PFOAに関するQ&A集」2024年8月時点)
代表的な例として、消火訓練や火災時に使用される泡消火薬剤が挙げられます。PFOS等を含む泡消火薬剤は、現在は国が定めた基準に基づき漏れることのないよう厳格に保管し、万が一漏れた場合には回収することが事業者に義務付けられています。(出典: 環境省「よくある質問」)
特定の地域でなぜ検出されているかについては、その地域ごとの土地利用や過去の経緯など個別の要因によって異なります。当サイト「全国水質カルテ」として個々の原因を独自に特定・断定することはせず、各自治体・関係機関が公表している情報の範囲でご紹介しています。
体内に入るとどうなるのか(半減期)
PFOS・PFOAは代謝されにくい物質ですが、新たな摂取がなければ、時間とともに体外へ排泄されていきます。欧州食品安全機関(EFSA)が収集したデータによると、体内濃度が半分になるまでの期間(半減期)は、PFOSで平均5.7年(範囲1.9〜18年)、PFOAで平均3.2年(範囲1.2〜8.5年)です。「一度体に入ったら一生残る」というものではなく、摂取量が減れば体内濃度も下がっていくと考えられています。
水道水・井戸水の基準(暫定目標値)
PFOS・PFOAについては、水道水・井戸水ともに、合算値で50 ng/L以下とする暫定目標値が国により定められています。これは法律で罰則等が定められた「基準値」ではなく、水道事業者や自治体が水質管理の目安とする「目標値」という位置づけです。2020年当時の科学的知見に基づき、体重50kgの人が生涯にわたって毎日2リットルの水を飲み続けても健康に悪影響が生じないと考えられる、安全側に立った水準として算出されています。

生涯毎日飲み続けても健康に影響が出ないよう、安全側に立って計算された目安の数値なんですね
お住まいの地域の井戸水や河川水がこの目標値を超えていた場合に次にできることは、別ページ「PFAS(有機フッ素化合物)の数値が暫定目標値を超えていたら?次にできること」で整理しています。
人体への影響について、現時点でわかっていること
環境省の公表資料によれば、PFOS・PFOAの摂取が主たる要因とみられる個人の健康被害が発生したという事例は、国内において確認されていません。一方で、疫学研究においてコレステロール値の上昇等との関連が指摘されており、どの程度の量が身体に影響を及ぼすかについては、現時点で十分な知見がなく、国際的に検討が続けられている段階です。発がん性についても、動物実験での所見がヒトにそのまま当てはまるかどうかは判断できないとされ、疫学研究の証拠も限定的と評価されています。(出典: 内閣府食品安全委員会「評価書 有機フッ素化合物(PFAS)」令和6年6月25日)
環境中のPFAS(PFOS・PFOA)は増えているのか
PFOS・PFOAはすでに製造・輸入が原則禁止されており、環境省の調査によると、2009年以降、同一の測定点における水質(河川等)・底質・大気中の濃度は、全体的な傾向として年々減少しています。調査は今後も継続される予定です。
よくある質問
PFASの読み方は?
「ピーファス」と読みます。
PFASとPFOSの違いは?
PFASは有機フッ素化合物1万種類以上の総称、PFOSはその中の代表的な1物質(ペルフルオロオクタンスルホン酸)です。
フライパンなどのPFAS(フッ素樹脂加工)は危険?
フッ素樹脂加工(いわゆるテフロン加工)にはPFASの一種が使われている場合がありますが、製品ごとの安全性評価は所管省庁・製造事業者の情報をご確認ください。当サイト「全国水質カルテ」は個別製品の安全性を判定するものではありません。
浄水器でPFASは除去できる?
活性炭やRO(逆浸透)膜を使った浄水器の中には、PFASの低減を謳う製品があります。除去性能は製品ごとに異なるため、各メーカーが公表する試験結果・認証情報をご確認ください。



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