岡山県吉備中央町の円城浄水場(案田配水池)では、令和4年度(2022年度)にPFOS+PFOA合算値1,400ng/Lという、全国の水道事業者の中でも極めて高い値が検出され、給水車・ペットボトル水による緊急給水対応が取られました。吉備中央町が公表している一次データを、当サイト「全国水質カルテ」が独自の判定を加えずそのままファクトとしてまとめました(更新年月: 2026年9月)。
- 情報源: 吉備中央町「円城浄水場有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)検出について」、「吉備中央町有機フッ素化合物に関する連絡協議会」資料
- 対象期間: 令和2年度(2020年度)〜令和7年度(2025年度)
- 記事の最終更新: 2026年9月
吉備中央町の水道水にPFAS(PFOS・PFOA)は含まれている?
円城浄水場(案田配水池、給水区域:522世帯・約1,000人)で、令和2年度から3年連続で暫定目標値(50ng/L)を大幅に超えるPFOS+PFOA合算値が検出されていました。これは実際に給水される配水池の水の値です。
(出典: 吉備中央町「円城浄水場有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)検出について」(令和5年10月20日更新)。R5追加検査は速報値(1,100〜1,200ng/L)の中央値で表示)
他地域のPFAS(PFOS・PFOA)実測値が気になる方は、全国のPFAS実測値を比較できるマップもあわせてご覧ください。
令和4年度の1,400ng/Lは、暫定目標値(50ng/L)の28倍にあたります。取水場所は河平ダムで、令和5年10月14日の緊急検査でも1,100〜1,200ng/Lという高い値が確認されました。
なぜ発覚が遅れたのか
この問題は、(公財)日本水道協会が実施する「令和4年度水道統計調査」への協力の過程で、令和5年10月13日に岡山県備前保健所から町へ連絡があり判明しました。町は令和3・4年度に検査を実施していたことは把握していましたが、令和2年度にも検査していたことが後から判明し、さらにその令和2年度の800ng/Lという結果を備前保健所に報告しておらず、翌年度の水道統計調査でも入力を誤り「1ng/L未満」として報告していたことが明らかになりました。
(出典: 吉備中央町「円城浄水場の有機化合物検出における検査結果について(お知らせ)」(令和5年10月19日付、町長名))
汚染源は特定されている?
吉備中央町は当初、汚染源を「不明」としていました。その後の岡山県による周辺調査で、浄水場周辺の沢(環境水)の最上流地点で暫定目標値の1,240倍にあたる高濃度が検出され、その付近で使用済み活性炭を含む大型容器約300個(借地に約15年前から保管されていたとみられる)が見つかっています。環境省は令和7年(2025年)9月から、この土壌を対象にPFOS等の濃度低減技術の実証事業を開始しました。
- 2023年10月16〜31日岡山県が円城浄水場周辺22地点で追加調査。最上流の環境水地点で暫定目標値の1,240倍(約62,000ng/L)を検出。
- 2023年11月22日飲用制限を解除。
- 2025年7月24日環境省が「PFOS等の濃度低減のための対策技術の実証事業」の実施事業者を発表(現地土壌の熱分解処理:鴻池組、洗浄・固化技術:清水建設・環境管理センター・大林組)。
- 2025年9月実証試験開始。
- 2025年12月頃現地作業完了予定、2026年2月頃に最終評価予定。
(出典: 吉備中央町「有機フッ素化合物に関する連絡協議会」資料(令和7年11月4日))
活性炭容器の発見と土壌浄化の実証事業は進んでいますが、2026年9月時点で、これが確定的な汚染原因であると公式に断定されたとの情報は確認できていません。
現在の水道水は安全か
吉備中央町は令和5年11月22日に飲用制限を解除し、通常通りの給水を再開しています。町の公表によれば、現在は定量下限値(5ng/L未満)で推移しているとされていますが、直近年度の具体的な採水日別の数値は今回確認できませんでした。
(出典: 吉備中央町「円城浄水場有機フッ素化合物検出について」ページ)
住民の健康影響への対応
吉備中央町は令和6年11月〜12月に住民709名を対象とした公費血液検査を実施し、PFAS7種合計の平均値は151.5ng/mLでした。これとは別に、住民有志27名が京都大学の研究チームと連携して独自に実施した血液検査では、PFOAの平均値が171.2ng/mLだったと報じられています。町は今後、子ども(2〜18歳)の希望者には当面毎年、大人には3年後(令和9年度)とその3年後(令和12年度)に公費検査を実施する方針を示しています。
(出典: 吉備中央町「有機フッ素化合物に関する連絡協議会」資料、Tansa、じちけん(自治体問題研究所)報道)
血中濃度の数値そのものは行政・報道が公表した値をそのまま記載していますが、これが健康にどう影響するかについて、当サイトが独自に評価・判定することはありません。
このページのデータの読み方と出典
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