地域別の水質カルテでは、地下水や河川のPFAS(有機フッ素化合物、PFOS・PFOA)について、国の暫定目標値(50 ng/L)を超える検査結果が公表されている地点を紹介することがあります。このページでは、「暫定目標値を超えている」という表示を見たときに、まず何を確認すればよいかを、環境省・厚生労働省が公表している一次資料に基づいて整理します。当サイト「全国水質カルテ」が独自に安全・危険の判定を行うことはありません。数値の解釈や個別の対応については、必ず自治体・専門機関にご相談ください。
暫定目標値(50 ng/L)とはどのようなものか
PFOS・PFOAの暫定目標値50 ng/Lは、2020年に当時の科学的知見に基づき「安全側に立った考え方」で設定された目安です。体重50kgの人が生涯にわたって毎日2リットルの水を飲み続けたとしても健康に悪影響が生じないと考えられる水準をもとに算出されています。法律で罰則等が定められた「基準値」ではなく、水道事業者や自治体が水質管理の目安とする「目標値」という位置づけです。

要するに、生涯毎日飲み続けても影響が出ないよう、安全側に立って算出された目安の数値、ということですね
環境省は、内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果等を踏まえ、最新の科学的知見に基づいて暫定目標値の取扱いについて専門家による検討を継続的に進めています。(出典: 環境省「PFOS、PFOAに関するQ&A集」2024年8月時点)
井戸水を利用している場合
環境省・厚生労働省は「PFOS及びPFOAに関する対応の手引き(第3版)」を作成し、都道府県等に対してこの手引きに基づく対応を実施するよう周知しています。井戸水のモニタリングの結果、飲用に利用されている可能性がある地点で暫定目標値の超過が確認された際には、飲用に供さないよう、都道府県等から周知・助言が行われることになっています。
ご自宅の井戸水について気になる場合は、まずお住まいの市区町村の環境担当窓口、または都道府県の担当部局にご相談ください。井戸水の水質検査の実施方法や、対象地域での対応状況について案内を受けられます。

対象地域では自治体から個別に周知・助言があるので、気になる場合はまず窓口に相談すれば大丈夫そうですね
河川水の場合
河川などの公共用水域は、環境省が「化学物質環境実態調査」等を通じて全国的にモニタリングしており、地下水と同じ暫定目標値(50 ng/L)が測定・公表の目安として用いられています。ただし、河川水は井戸水とは異なり、通常はそのまま飲用に供されるものではありません。公共の水道として利用される場合は、浄水場での処理を経て給水されており、水道水としての基準・目標値の管理は別途行われています(各地域カルテの「水道水」セクションをご参照ください)。
水道水の場合
水道水についても、PFOS・PFOAの合算値で50 ng/L以下とする暫定目標値が定められています。水道事業者等は、この目標値を超えることがないよう水質管理を行うこととされており、超過が確認された場合には水源の切替等の濃度低減化措置を講じるよう国から要請されています。
健康への影響について、現時点でわかっていること
環境省の公表資料によれば、PFOS・PFOAの摂取が主たる要因とみられる個人の健康被害が発生したという事例は、国内において確認されていません。一方で、疫学研究においてコレステロール値の上昇等との関連が指摘されており、どの程度の量が身体に影響を及ぼすかについては、現時点で十分な知見がなく、国際的に検討が続けられている段階です。
いくつかの自治体では、過去にPFOS・PFOAが検出された浄水場から給水を受けている地域とそれ以外の地域とで、がん罹患率や低出生体重児の割合等の健康指標を比較する取り組みも行われていますが、明確な差は見られなかったとする報告もあります。これらはあくまで参考情報であり、当サイト「全国水質カルテ」として健康影響の有無を判定するものではありません。
水質検査や浄水器設置の費用を自治体が補助してくれることはある?
一部の自治体では、井戸水・水道水の水質検査費用や、基準を超えた場合の浄水器設置費用の一部を補助する制度を設けている例があります。ただし、補助の有無・金額・対象条件は自治体によって大きく異なり、制度の新設・改廃も随時行われているため、このページでは具体的な金額を記載しません。

金額は自治体ごとにバラバラだし変わることもあるから、まずはお住まいの窓口で「うちの地域は対象になりますか?」と聞いてみるのが確実そうですね
例えば、井戸水の水質検査費用の一部を補助する制度を設けている自治体(北海道深川市、千葉県芝山町等)や、2026年4月のPFOS・PFOA基準化を受けてPFAS検査や浄水器設置への補助を新設した自治体(熊本県八代市等)が確認できます。これらはあくまで制度が存在する例であり、全国共通の制度ではありません。
また、助成の対象となる水質検査は、検査を行う機関について自治体側で要件を定めている場合があります(例: 保健所での検査、または計量法に基づき都道府県知事の登録を受けた「計量証明事業者」による検査であること等)。どの機関で検査を受ければ対象になるかは、申請前に窓口でご確認ください。
お住まいの市区町村の環境担当課、または上下水道局の窓口にお問い合わせください。「井戸水(または水道水)の水質検査や浄水器設置について、補助制度はありますか」とご相談いただくとスムーズです。
相談窓口
- 井戸水の水質・利用に関するご相談: お住まいの市区町村の環境担当課、または都道府県庁の水質担当部局
- 水道水に関するご相談: 各地域の水道事業者(上下水道局・企業団等)の窓口
- 健康に関するご相談: お住まいの地域を管轄する保健所



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