沖縄県金武町では、金武浄水場の水道水(浄水後)から令和2年6月にPFOS+PFOA合算値70ng/Lが検出されました。粒状活性炭の導入で数値は低下し、令和5年2月には金武・並里地区の地下水取水そのものを停止、現在は全量が沖縄県企業局からの受水に切り替わっています。金武町が公表している一次データを、当サイト「全国水質カルテ」が独自の判定を加えずそのままファクトとしてまとめました(更新年月: 2026年9月)。
- 情報源: 金武町「有機フッ素化合物関連」水質検査結果PDF(令和4〜7年度)
- 対象期間: 令和元年度(2019年度)〜令和7年度(2025年度)
- 記事の最終更新: 2026年9月
金武町の水道水にPFAS(PFOS・PFOA)は含まれている?
金武浄水場の「水道水」(各水源からの水を浄水処理後、沖縄県企業局水とブレンドした水)は、令和2年6月22日の検査でPFOS+PFOA合算値70ng/Lを記録しました。同日の地下水源(金武1〜6号水源の着水井)は28〜410ng/Lと、より高い値を示していました。
(出典: 金武町「【各区】有機フッ素化合物(PFOS+PFOA)の検出状況について」PDF(単位:ng/L))
全国の主要都市のPFAS(PFOS・PFOA)実測値は、全国PFASマップで一覧・比較できます。
令和4年7月15日、全緩速ろ過池への粒状活性炭投入が完了し、以降の水道水の値はほぼ全て定量下限値未満(1ng/L未満)で安定しました。

活性炭を入れてからは数値がかなり落ち着いていますね。対策の効果が数字にはっきり表れている例だと思います。
令和5年2月、地下水の取水そのものを停止
金武町公式資料には次の記載があります。
「令和5年2月1日より金武地区・並里地区の水道水において地下水の取水を停止し、全量企業局用水となったことから、本検査の実施及び公表は令和5年1月11日までとする」
つまり令和5年2月以降、金武浄水場・並里浄水場の地下水はもはや実際の給水には使われていません。それ以降に町が公表しているPFAS検査値は、配水されていない旧水源(着水井・浄水池)の継続モニタリングであり、住民に実際に届く水道水の値ではない点に注意が必要です。
(出典: 金武町「金武浄水場における粒状活性炭敷設に伴うPFOS+PFOAの検出状況」)
旧水源(着水井・浄水池)のその後の推移(参考・非配水)
令和5年2月の取水停止後も、町は旧施設のモニタリングを継続しています。直近の令和7年7月24日の検査では、原水にあたる着水井で金武浄水場81ng/L、並里浄水場180ng/Lと依然として高い値が確認されている一方、浄水処理後の浄水池では金武2ng/L、並里1ng/L未満でした。いずれも配水には使われていない参考値です。
(出典: 金武町「令和7年度PFOS等水質検査結果」PDF)
現在、住民が実際に使う水道水のPFAS値は?
令和5年2月以降、金武・並里地区の水道水は全量が沖縄県企業局からの受水に切り替わっています。金武町自身の公表資料からは、この企業局受水そのものの直近PFAS実測値を確認できませんでした。参考として、令和6年度に金武ベースボールスタジアムや嘉芸小学校等で採取された生活用水のサンプル(企業局水を含むとみられる)は、確認できた範囲ではいずれも定量下限値未満(1ng/L未満)でした。
(出典: 金武町「有機フッ素化合物関連」令和6年度水質検査結果PDF)
実際に住民の蛇口に届く水道水のPFAS値を正確に把握するには、供給元である沖縄県企業局自身の検査結果を確認する必要があります。この点は金武町の公表資料の範囲外であり、当サイトも断定を避け、不確かな情報として扱います。
河川・排水路の調査について(水道水源とは別のデータ)
金武町は住民生活課が河川・排水路のPFAS調査も別途継続実施しています。報道によれば、令和7年度の調査では河川など15地点中5地点で国指針値を超過し、基地隣接地点で高い値が確認されたとされています。これは河川・環境水の調査であり、上記の水道水源(地下水)のデータとは別系統・別目的の調査です。当サイトはこの2つを混同せず、別のものとして扱っています。
(出典: 沖縄タイムス報道(金武町内の河川調査について))
金武町の水道水の水質基準51項目(令和5年度)は?
金武町「水質試験検査年間結果書(2023年度)」によると、町内5浄水場の給水栓・浄水場出口で検査された硬度・フッ素・総トリハロメタン・pH・色度・濁度は、いずれも国の基準値の範囲内でした。総トリハロメタンのみ喜瀬武原浄水場で基準値に近い値(平均0.072mg/L、基準0.1mg/L以下)となっており、同浄水場では消毒副生成物の一種ブロモジクロロメタンが年3回、基準値(0.03mg/L以下)を超過(最大0.033mg/L)したことも報告されています。
(出典: 金武町上下水道課「水質試験検査年間結果書」2023年度(令和5年度)、5浄水場計)
現在配水されている浄水場(中川・喜瀬武原・屋嘉)
中川浄水場(金武町ベースボールスタジアム付近)、喜瀬武原浄水場(金武8827平良宅付近)、屋嘉浄水場(嘉芸小学校付近)の3地点です。
| 浄水場 | 硬度 | フッ素 | 総トリハロメタン | pH値 | 色度 | 濁度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 中川浄水場 | 26〜30 mg/L(平均28) | 0.05 mg/L未満 | 0.034〜0.051 mg/L(平均0.044) | 7.5〜7.8(平均7.6) | 0.5度未満 | 0.2度未満 |
| 喜瀬武原浄水場 | 27〜43 mg/L(平均38) | 0.05 mg/L | 0.041〜0.093 mg/L(平均0.072) | 7.0〜7.3(平均7.2) | 0.5度未満〜2.1度(平均0.3) | 0.2度未満 |
| 屋嘉浄水場 | 25〜34 mg/L(平均32) | 0.05 mg/L未満 | 0.022〜0.054 mg/L(平均0.036) | 7.4〜7.6(平均7.5) | 0.5度未満〜1.6度(平均0.2) | 0.2度未満〜0.5度(平均0.0) |
喜瀬武原浄水場では、上表の基準項目とは別に、消毒副生成物の一種であるブロモジクロロメタン(基準値0.03mg/L以下)が2023年度に年12回中3回、最大0.033mg/Lを記録し、町の公式判定でも「不適合」とされています(年間の最小値0.011mg/L、平均0.025mg/L)。総トリハロメタン自体は基準値(0.1mg/L以下)を下回っています。
(出典: 金武町上下水道課「水質試験検査年間結果書」2023年度(令和5年度)、喜瀬武原浄水場)

PFASとは別の項目で基準値を超えた月があったというのも、こうして公表資料をそのまま並べてみないと気づきにくいポイントですね。
参考:配水停止中の旧水源(金武・並里浄水場)
金武浄水場・並里浄水場は、PFAS問題を受けて令和5年2月に地下水取水を停止した施設です。現在は配水に使われていませんが、町は同じ「水質試験検査年間結果書」の枠組みで2023年度もモニタリングを継続しており、その基準51項目の数値は次のとおりです。
| 浄水場 | 硬度 | フッ素 | 総トリハロメタン | pH値 | 色度 | 濁度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 金武浄水場 | 24〜30 mg/L(平均28) | 0.05 mg/L未満 | 0.026〜0.043 mg/L(平均0.036) | 7.5〜7.6(平均7.6) | 0.5度未満〜0.6度(平均0.0) | 0.2度未満 |
| 並里浄水場 | 27〜30 mg/L(平均29) | 0.05 mg/L未満 | 0.029〜0.043 mg/L(平均0.037) | 7.6〜7.8(平均7.7) | 0.5度未満〜2.2度(平均0.3) | 0.2度未満 |
これらは配水されていない旧水源の参考値であり、上記「現在配水されている浄水場」の数値とは区別して掲載しています。
(出典: 金武町上下水道課「水質試験検査年間結果書」2023年度(令和5年度)、金武浄水場・並里浄水場)
このページのデータの読み方と出典
本ページの数値の見方と、参照した情報源をまとめます。「着水井」は井戸から汲み上げた原水に近い地下水、「浄水池」は浄水処理後の水(配水前)、「水道水」は浄水処理後に企業局水とブレンドされ実際に給水された水を指します。当サイトはこれらを混同せず、それぞれ区別して掲載しています。



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