兵庫県明石市の水道水は、明石川浄水場・魚住浄水場・鳥羽浄水場の給水栓水でPFOS+PFOA合算値が令和2年度に54ng/Lを記録し、令和4〜5年度は20ng/L台まで低下しましたが、令和6年度には再び40ng/Lまで上昇しています。原水である明石川や排水路では、水道水よりもはるかに高い値が検出されています。明石市が公表している一次データを、当サイト「全国水質カルテ」が独自の判定を加えずそのままファクトとしてまとめました。また、明石市は令和8年9月、低出生体重児やLDL(悪玉)コレステロール値など既存の保健統計を用いた健康状態の分析結果も公表しており、本ページではこの内容もあわせて紹介します(更新年月: 2026年9月)。
- 情報源: 明石市水道局「PFOS及びPFOAの検査結果について」月次PDF(令和2〜8年)、明石市上下水道局「水質検査地点と結果」(水質基準51項目)、明石市「PFASについて」(河川水・地下水・健康状態の把握)
- 対象期間: 令和2年度(2020年度)〜令和8年度(2026年度)。水質基準51項目は2025年度(令和7年度)市内末端じゃ口年間平均値
- 対象地点(51項目): 明石川浄水場系(大蔵海岸)・鳥羽浄水場系(船上浄化センター)・西部配水場系(大久保分署)・魚住浄水場系(二見浄化センター)の4系統
- 記事の最終更新: 2026年9月
明石市の水道水にPFAS(PFOS・PFOA)は含まれている?
明石市水道局によれば、給水栓水(実際に給水される水道水)のPFOS+PFOA合算値は、令和2年度の最大54ng/Lから令和4〜5年度は20ng/L台まで低下しましたが、令和6年度には最大40ng/Lまで再び上昇しました。いずれの年度も暫定目標値(50ng/L)を下回っています。
(出典: 明石市水道局「PFOS及びPFOAの検査結果について」月次PDF)
給水栓水(水道水)の年度最大値の推移
令和6年12月20日・令和7年3月7日には、鳥羽浄水場末端給水栓(船上浄化センター)でPFOS+PFOAが合算33〜40ng/Lまで上昇した回がありました。明石市はこれについて、兵庫県営水道(呑吐ダム)側で取水制限があり、明石川からの取水割合を一時的に増やしたことが原因と説明しており、いずれも暫定目標値(50ng/L)は下回っています。
(出典: 明石市水道局「PFOS及びPFOAの検査結果について」令和6年度PDF(脚注))
近畿地方(2府4県)53市町村のPFAS(PFOS・PFOA)実測値を一覧で比較できます。近畿地方のPFAS比較ページを見る
PFAS(PFOS・PFOA)の実測値を他地域と見比べたい場合は、PFAS全国比較マップをご活用ください。
明石川の原水や排水路では、水道水よりも高い値が出ている
明石市が原水・環境水として調査している明石川取水口や奥の新池排水路では、水道水よりもはるかに高いPFOA値が検出されています。これらは浄水処理前の河川水・排水であり、そのまま給水される水道水ではありません。
| 採水日 | 地点 | 区分 | PFOA |
|---|---|---|---|
| 令和2年8月28日 | 奥の新池排水路 | 排水 | 4100 ng/L |
| 令和2年8月4日 | 明石川取水口 | 河川水(原水) | 480 ng/L |
| 令和7年2月13日 | 奥の新池排水路 | 排水 | 2700 ng/L |
| 令和6年8月6日 | 奥の新池排水路 | 排水 | 1100 ng/L |
| 令和8年7月 | 明石川取水口 | 河川水(原水) | 68 ng/L |
(出典: 明石市水道局「PFOS及びPFOAの検査結果について」月次PDF(各年度))
明石市は自身のPFAS汚染源を特定していません(隣接する神戸市が発生源調査・関係施設への協力要請を進めているのとは対照的です)。奥の新池排水路は継続的に高い値が検出されている調査地点ですが、公式に汚染源が特定された発表は見つかりませんでした。
明石川からの取水はどうなる?
- これまで浄水場の活性炭フィルターの交換頻度を4年に1回から毎年に変更。
- 令和7年度(2025年度)〜阪神水道企業団からの受水を開始し、明石川原水への依存を段階的に減らす。
- 令和10年度(2028年度)目標明石川からの取水を完全に停止する計画。
(出典: 明石市水道局「PFOS及びPFOAについて」、国立環境研究所webサイトによる明石市の説明の紹介記事)
地下水(井戸水)の状況は?
明石市は令和6年度から地下水(井戸水)のPFAS調査を開始しており、令和8年6月の調査では監視対象5地点のうち3地点で50ng/Lを超える値が検出されました。これは水道水源ではない一般環境中の井戸水の調査結果であり、市は該当地点周辺の井戸利用者に井戸水を飲用しないよう呼びかけ、監視頻度を年2回に増やして周辺調査を継続しています。
(出典: 明石市「PFAS(有機フッ素化合物)について」(地下水))
市内の湧水は?
明石市内の代表的な湧水2か所(亀の水・弘法太師の霊水)でもPFOS・PFOA検査が行われており、令和7年10〜12月の調査ではいずれも暫定指針値(50ng/L)を下回りました(亀の水: PFOS4ng/L+PFOA26ng/L=合算30ng/L、弘法太師の霊水: PFOS5ng/L+PFOA31ng/L=合算36ng/L)。
(出典: 明石市「PFASについて」)
明石市の水道水の硬度はどれくらい?
明石市の水道水の硬度は、給水系統によって50〜100 mg/Lの範囲であり、国の基準値(300 mg/L以下)を大幅に下回っています。(出典: 明石市上下水道局「水質検査地点と結果」2025年度(令和7年度)市内末端じゃ口年間平均値)
| 系統(代表地点) | 硬度 |
|---|---|
| 明石川浄水場系(大蔵海岸) | 67 mg/L |
| 鳥羽浄水場系(船上浄化センター) | 100 mg/L |
| 西部配水場系(大久保分署) | 50 mg/L |
| 魚住浄水場系(二見浄化センター) | 60 mg/L |
明石市の水道水にフッ素は含まれている?
明石市の水道水のフッ素及びその化合物は、給水系統によって0.08 mg/L未満〜0.17 mg/Lの範囲であり、国の基準値(0.8 mg/L以下)を大幅に下回っています。(出典: 明石市上下水道局「水質検査地点と結果」2025年度(令和7年度)市内末端じゃ口年間平均値)
| 系統(代表地点) | フッ素及びその化合物 |
|---|---|
| 明石川浄水場系(大蔵海岸) | 0.12 mg/L |
| 鳥羽浄水場系(船上浄化センター) | 0.17 mg/L |
| 西部配水場系(大久保分署) | 0.11 mg/L |
| 魚住浄水場系(二見浄化センター) | 0.08 mg/L未満 |
明石市の水道水のトリハロメタンの検査結果は?
明石市の水道水の総トリハロメタンは、給水系統によって0.001 mg/L未満〜0.035 mg/Lの範囲であり、国の基準値(0.1 mg/L以下)を大幅に下回っています。(出典: 明石市上下水道局「水質検査地点と結果」2025年度(令和7年度)市内末端じゃ口年間平均値)
| 系統(代表地点) | 総トリハロメタン |
|---|---|
| 明石川浄水場系(大蔵海岸) | 0.013 mg/L |
| 鳥羽浄水場系(船上浄化センター) | 0.035 mg/L |
| 西部配水場系(大久保分署) | 0.009 mg/L |
| 魚住浄水場系(二見浄化センター) | 0.001 mg/L未満 |
明石市の水道水はまずい?
検査結果では、明石市の水道水の味・臭気に異常は見つかっていません(4系統すべて)。(出典: 明石市上下水道局「水質検査地点と結果」2025年度(令和7年度)市内末端じゃ口年間平均値)
| 系統(代表地点) | 味 | 臭気 |
|---|---|---|
| 明石川浄水場系(大蔵海岸) | 異常なし | 異常なし |
| 鳥羽浄水場系(船上浄化センター) | 異常なし | 異常なし |
| 西部配水場系(大久保分署) | 異常なし | 異常なし |
| 魚住浄水場系(二見浄化センター) | 異常なし | 異常なし |
カルキ臭が気になる場合は、消毒に使う残留塩素の実測値(0.5〜0.6 mg/L、系統ごとに検査)もあわせてご確認ください。
検査結果に異常がなくても味や臭いが気になる場合に考えられる原因を、別ページ「水道水がまずいと感じたら?考えられる原因」で整理しています。
明石市の水道水のその他の基準項目
その他の基準項目もすべて基準値内です。以下は2025年度(令和7年度)・市内末端じゃ口年間平均値です。(出典: 明石市上下水道局「水質検査地点と結果」2025年度(令和7年度)市内末端じゃ口年間平均値)
pH値の実測値
6.9〜7.3(系統により異なる)で、基準(5.8以上8.6以下)内です。
色度の実測値
0.5度未満(4系統すべて)で、基準(5度以下)を大幅に下回っています。
濁度の実測値
0.1度未満(4系統すべて)で、基準(2度以下)を大幅に下回っています。
鉛及びその化合物の実測値
0.001 mg/L未満(4系統すべて)で、基準(0.01 mg/L以下)を大幅に下回っています。
ヒ素及びその化合物の実測値
0.001 mg/L未満(4系統すべて)で、基準(0.01 mg/L以下)を大幅に下回っています。
(出典: 明石市上下水道局「水質検査地点と結果」2025年度(令和7年度)市内末端じゃ口年間平均値)
明石市はPFASの健康影響をどう評価している?
明石市は令和8年9月、環境省の通知に基づき、既存の保健統計を用いて「低出生体重児の状況」と「LDL(悪玉)コレステロール値の状況」を分析した結果を公表しました。いずれの指標も、明石市と兵庫県全体の間、または市内の地域間で大きな差は見られませんでした。(出典: 明石市「PFASについて」)
低出生体重児の割合はどう変化している?
明石市の低出生体重児(出生時体重2,500g未満)の割合は、過去10年間(平成27年度〜令和6年度)で8.73%〜9.93%の範囲で推移しており、兵庫県全体(9.22%〜10.08%)と比べても大きな差や増加傾向は見られません。(出典: 明石市「低出生体重児の状況」、原典は保健統計年報(兵庫県))
| 年度 | 明石市 出生数 | 明石市 2,500g未満 | 明石市 割合 | 兵庫県 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 平成27年度(2015) | 2,634 | 230 | 8.73% | 9.24% |
| 平成28年度(2016) | 2,692 | 264 | 9.81% | 9.58% |
| 平成29年度(2017) | 2,694 | 259 | 9.61% | 9.39% |
| 平成30年度(2018) | 2,813 | 260 | 9.24% | 9.37% |
| 令和元年度(2019) | 2,681 | 260 | 9.70% | 9.24% |
| 令和2年度(2020) | 2,672 | 246 | 9.21% | 9.22% |
| 令和3年度(2021) | 2,719 | 239 | 8.79% | 9.36% |
| 令和4年度(2022) | 2,562 | 250 | 9.76% | 9.51% |
| 令和5年度(2023) | 2,730 | 271 | 9.93% | 9.33% |
| 令和6年度(2024) | 2,531 | 242 | 9.56% | 10.08% |
(出典: 明石市「低出生体重児の状況」(PDF)、原典は保健統計年報(兵庫県))
LDL(悪玉)コレステロール値は地域で差がある?
明石市が、明石川を水源とする地域(東部・中部配水場から受水している地域)とそれ以外の地域(市内在住20年以上の受診者)でLDLコレステロール値を比較した結果、過去10年間(平成28年度〜令和7年度)の平均値・受診勧奨対象者(140mg/dL以上)の割合ともに、両地域で大きな差は見られませんでした。(出典: 明石市「LDL(悪玉)コレステロール値の状況」、原典は特定健康診査情報)
| 年度 | 東部 平均値 | 西部 平均値 | 東部 受診勧奨割合 | 西部 受診勧奨割合 | 兵庫県 受診勧奨割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平成28年度(2016) | 128.60 | 128.18 | 33.7% | 33.7% | 29.2% |
| 平成29年度(2017) | 128.23 | 128.02 | 33.7% | 33.6% | 29.6% |
| 平成30年度(2018) | 126.76 | 126.95 | 31.9% | 32.7% | 30.0% |
| 令和元年度(2019) | 125.57 | 124.85 | 29.6% | 29.8% | 31.6% |
| 令和2年度(2020) | 125.43 | 124.81 | 30.2% | 30.7% | 29.0% |
| 令和3年度(2021) | 125.52 | 125.61 | 31.2% | 31.3% | 29.2% |
| 令和4年度(2022) | 122.55 | 122.71 | 28.0% | 27.5% | 27.0% |
| 令和5年度(2023) | 120.93 | 120.68 | 25.4% | 24.8% | 26.1% |
| 令和6年度(2024) | 120.04 | 120.62 | 24.2% | 25.2% | 25.8% |
| 令和7年度(2025) | 118.98 | 119.44 | 23.6% | 24.0% | 23.9% |
(出典: 明石市「LDL(悪玉)コレステロール値の状況」(PDF)、原典は特定健康診査情報(国民健康保険・後期高齢者健診))
京都府立大学の原田浩二教授(環境保健学)は、この分析について、年齢や生活習慣、既往症などの要因を統制していないため、これだけでPFASによる健康影響がない・あるとは結論づけられないと指摘しています。既存の保健統計を活用した分析には疫学的な限界があり、結果の解釈には注意が必要だとしています。(出典: 朝日新聞デジタル、2026年9月26日配信)
明石市は令和8年9月6日に市民向けの意見交換会を開催しており、今後も健康状態の把握と公表を継続する方針を示しています。(出典: 明石市「PFASについて」)
このページのデータの読み方と出典
本ページの数値の見方と、参照した情報源をまとめます。「給水栓水」は実際に蛇口から出る水道水、「河川水(原水)」は浄水処理前の明石川の水、「排水」は排水路の水、「地下水」は水道水源とは別に市が調査している井戸水を指します。当サイトはこれらを混同せず、それぞれ区別して掲載しています。健康影響についての独自の安全・危険判定は行っていません。
出典一覧
- 明石市水道局「PFOS及びPFOAの検査結果について」
- 明石市水道局「PFOS及びPFOAについて」
- 明石市「PFAS(有機フッ素化合物)について」(河川水・地下水・健康状態の把握)
- 明石市上下水道局「水質検査地点と結果」(水質基準51項目)
- 明石市「低出生体重児の状況」(PDF)
- 明石市「LDL(悪玉)コレステロール値の状況」(PDF)
- 朝日新聞デジタル「PFASによる健康影響「県全体と差なし」 兵庫・明石市が統計分析」(Yahoo!ニュース、2026年9月26日配信)



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